結晶性樹脂・非結晶性樹脂
樹脂加工の基礎用語
熱可塑性樹脂は、結晶構造を持つか否かによって、結晶性樹脂と非結晶性樹脂(非晶性樹脂)に二分されます。
結晶性樹脂(英:Crystalline resin)は、溶融樹脂の温度が低下し結晶化温度(Tc)となって固化した際、
分子が規則的に並んだ結晶部分(=折りたたみ構造)をもつ樹脂の総称です。
一方、非結晶性樹脂(英:Amorphous resin)は、溶融樹脂が一定温度に冷却された際、
分子が結晶構造にならず不規則に並んだ状態(=ランダム構造)のまま固化するものです。
アクリル(PMMA樹脂)や塩化ビニル(PVC樹脂)が有名です。
両者の大きな違いは以下の通りです。
1. 非結晶性樹脂の方が透明性が高い
結晶性樹脂は結晶部分と非結晶部分で光の屈折率が異なるため内部で光が乱反射し、概して透明性が低くなります。
2. 結晶性樹脂の方が耐薬品性が高い
結晶部分には薬品が侵入しにくいためです。
3. 非結晶性樹脂の方が温度変化による収縮率が小さく、寸法精度が安定する
結晶部分は溶融すると膨張し、逆に固化すると収縮するため、寸法精度の変化に大きく影響します。
したがって、薬品や洗剤等の容器には、結晶性樹脂のポリエチレン(PE樹脂)やポリプロピレン(PP樹脂)を採用することが多いです。
以下に代表的な結晶性樹脂と非結晶性樹脂の一覧を示します。
<結晶性樹脂>
- PE樹脂(ポリエチレン)
- PP樹脂(ポリプロピレン)
- PA樹脂(ナイロン)
- POM樹脂(ポリアセタール)
- PBT樹脂(ポリブチレンテレフタラート)
- PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)
- PEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン)
<非結晶性樹脂>