熱硬化性樹脂
樹脂加工の基礎用語
樹脂材料は、加熱時の反応(もしくはその要因となる分子構造)により熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に二分されます。
熱硬化性樹脂(英:Thermosetting resin)とは、加熱すると重合して三次元網目構造を形成し、硬度を増す樹脂の総称です。
熱可塑性樹脂とは異なり、一度加熱して硬化した後に再加熱しても軟化しない(不溶)という特徴を持っています。
そのため、耐熱性はもちろん、剛性、耐薬品性、形態安定性等に優れています。
なお、20世紀初頭に世界で初めて発見された熱硬化性樹脂は、ベークライトだと言われています。
熱硬化性樹脂がこのような性質を持っている理由は、架橋結合という分子構造にあります。
架橋結合は非常に強い結合のため、高温環境下でも強い結合を維持することから分子の運動が制限されます。
ただし、加熱によって一定の可塑性を示す熱硬化性樹脂もあります。
代表的な熱硬化性樹脂を以下に示します。
- フェノール樹脂(ベークライト等)
- エポキシ樹脂(エポキシガラス等)
- メラミン樹脂
- 不飽和ポリエステル樹脂
- シリコーン樹脂
- ポリウレタン
日本プラスチック工業連盟が発表しているプラスチック原材料生産実績(2022年1月)によると、
熱硬化性樹脂の生産量は樹脂全体の約10%に過ぎません。
熱可塑性樹脂に比べ成形性(加工性)に劣ることから生産量は少ないものの、
特有の優れた性質をもつことから様々な分野で活躍しています。
(参考:日本プラスチック工業連盟 2022年プラスチック原材料生産実績)