ABS樹脂とは? 性質から加工方法選定のポイント、事例まで詳しく解説

技術解説

2022.06.03

ABS樹脂とは? 性質から加工方法選定のポイント、事例まで詳しく解説|樹脂切削 試作・量産センター.com

 

<目次>

  • ABS樹脂ってどんなプラスチック?
  • ABS樹脂 加工法選定のポイント
  • 当社のABS樹脂切削の事例
  • ABS樹脂の切削加工なら、当社にお任せください!

 

ABS樹脂ってどんなプラスチック?

樹脂材料(プラスチック)の一つであるABS樹脂をご存じでしょうか。樹脂というと、一般的にはPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)、PVC(塩化ビニル)などがよく知られていますね。しかし、実はABS樹脂も、身の回りの日用品から工業用製品まで最も多く利用されている材質の一つです。

ABS樹脂は3つの樹脂からできている

ABS樹脂とは、Acrylonitrile Butadiene Styrene(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)の略称で、3種類の樹脂の性質を併せもつ優れた材質になります。アクリロニトリルは耐熱性・剛性・耐油性に優れており、合成ゴムの原料でもあるブタジエンは耐衝撃性が良好です。また、芳香族炭化水素のスチレンは優れた光沢性、切削性、電気的特性をもっているのに加え、高い寸法安定性を備えています。なおシアン化ビニルとも呼ばれるアクリロニトリルは、やはり有名なPMMA(アクリル)の原料でもあります。

ABSの特徴

ABSの大きな特徴は、靭性(粘り強さ)と強度がある点です。靭性とは、外部からの圧力に対する抵抗の程度を指し、破壊されにくさを表す機械的性質の一つです。さらに、サンドペーパーややすりなどで研磨することも可能で、樹脂用塗料による着色もしばしば行われます。

ABS樹脂は、加熱すると軟化して成形しやすくなるが冷却すると硬化するという熱可塑性樹脂の一種です。熱可塑性樹脂の反対に熱硬化性樹脂というものもあり、フェノール樹脂(ベークライト)などがありますが、こちらは熱を加えると硬化するという逆の性質を持っています。

話を戻すと、ABS樹脂の融点はおよそ100℃で、いわゆる汎用プラスチックの部類に属します。樹脂材料の中でも熱可塑性樹脂は、耐熱性によりざっくり3種類に分類されており、耐熱温度が約100℃までのものは汎用プラスチック、約150℃までのものはエンジニアリングプラスチック(エンプラ)、それを超えるものについてはスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)と呼ばれています。耐熱性に優れたエンプラ、スーパーエンプラは、その名の通り工業用製品に使われることが多い樹脂材料で、近年では軽量化の目的から自動車部品に採用されるケースが増えてきています。

 

 

ABS樹脂 加工方法選定のポイント

次に、ABS樹脂の切削加工のポイントについて解説します。ABS樹脂は切削性が高く、削りやすい材質です。一般に樹脂加工は、①3Dプリンターによる造形②射出成形③切削加工という3つの加工技術が用いられます。

①3Dプリンターによる造形

3Dプリンターによる造形は、付加製造(AM)とも呼ばれ、除去製造にあたる切削加工とは異なり材料歩留まりが非常に高いという特徴があります。しかし、ABS樹脂のように耐熱性が低い汎用プラスチックの場合は、高温時の熱変形が激しく造形中に歪みが発生しやすいため、寸法や表面性状の要求品質を満たせているか注意する必要があります。

②射出成形

射出成形(Injection Molding)は、ペレットを溶かして金型に流し込み成形する大量生産向きの加工法になります。初期コストとして金型製作代がかかりますので、ロット数が数万~数十万に及ぶ場合はこの射出成形が向いています。しかし、数百~数千の中ロット生産の場合や複雑形状、高精度が必要な部品についてはあまりオススメできません。

③切削加工

切削加工は、マシニングセンタやNC旋盤などの工作機械を用いた機械加工の一つで、複雑形状や高い精度を出すのを得意とする加工法になります。部材をエンドミルやドリルなどの工具で削っていくため、その分材料費がかかるというデメリットがあります。また、コストの点から射出成形のような大ロット生産には向いていないものの、段取りの工夫次第で数百~数千の中ロットの量産には最適な加工法と言えます。

 

 

当社のABS樹脂切削の事例

ここでは、当社のABS樹脂の切削加工事例をご紹介します。

事例①:半導体向け ABS樹脂製 パイプエルボ固定治具

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こちらは、半導体業界向けのパイプエルボ固定治具になります。

本製品のサイズは35x80x200で、材質は汎用プラスチックのABS樹脂です。マシニングセンタでインサートの加工を施したのち、相手部品の挿入まで当社で対応いたしました。2個1組で組み合わせる部品のため平面度が重要でしたが、無理なくクリアしました。

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事例②:産業機器向け ABS樹脂製 フランジ

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こちらは、ABS樹脂製のフランジになります。

サイズはΦ60xL10で、「CNC複合加工機(5軸)INTEGREX i-250H S」(複合旋盤)により加工を行いました。本製品は気体検査用のフランジであるため、シール面およびOリング溝の表面粗さが重要でした。

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ABS樹脂の切削加工なら、当社にお任せください!

「樹脂切削 試作・量産センター.com」を運営する株式会社サクラテックは、福島県白河市の切削加工メーカーです。当社は、ABS樹脂をはじめとする樹脂材料の切削加工を得意としています。中でも複雑形状部品や精密部品の小~中ロット生産に軸足を置いており、長年様々な業界のお客様にご支持いただいております。

CAD/CAMの高い技術力をもったオペレーター、50台以上のマシニングセンタ・複合旋盤、24時間稼働による変種変量への対応力、そして徹底した品質管理体制。これら4つの強みにより、お客様の「これがほしい!」にお応えいたします。

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